実行しやすさ特徴量(Ease-of-Execution Feature)に基づく
パーソナライズドタスク実行時間推薦
研究背景
近年、デジタルカレンダーやタスク管理システムの普及に伴い、空き時間を利用したタスクスケジューリングに関する研究が数多く行われている。
しかし、カレンダー上に空き時間が存在していても、その時間帯に必ずしもタスクを実行できるとは限らない。例えば、朝は集中しにくい一方で夜は作業しやすい場合や、タスクの種類によって予定どおりに進められない場合がある。また、人はタスクの所要時間を楽観的に見積もる傾向があり、計画時間と実際の所要時間には乖離が生じることが多い。
このように、「空き時間」と「実際にタスクを実行しやすい時間」は一致しないという課題がある。
研究目的
ユーザーの過去のタスク実行履歴を分析し、その人が実際にタスクを実行しやすい時間帯を推定することで、単なる空き時間ではなく、実行成功率の高い時間帯へタスクを推薦するパーソナライズドタスクスケジューリングシステムを実現することを目的としている。
研究概要
本研究では、ユーザーの日々のタスク実行履歴を利用し、実行しやすさを表す新しい特徴量「Ease-of-Execution Feature」を提案する。
実行履歴から以下のような情報を分析対象とする。
- タスクカテゴリ
- 計画開始時刻
- 実開始時刻
- 計画所要時間
- 実際の所要時間
- 実施日時
これらのデータを用いて、ユーザーごとの行動特性を分析する。
提案手法
計画錯誤(Planning Fallacy)の分析
人はタスクの所要時間を実際より短く見積もる傾向がある。そこで、過去の実行履歴から計画時間と実際の所要時間との差を分析し、ユーザーごとの計画傾向をモデル化する。
時間帯ごとの実行成功率
同じユーザーであっても、時間帯によってタスクの実行しやすさは異なる。過去の実行履歴から時間帯ごとの実行成功率を算出し、ユーザーがどの時間帯で最もタスクを実行しやすいかを分析する。
Ease-of-Execution Feature
計画錯誤と時間帯ごとの実行成功率を統合し、「実行しやすさ」を表す新たな特徴量であるEase-of-Execution Featureを定義する。この特徴量を利用することで、ユーザーごとに実行成功率の高い時間帯を推定する。
システム概要
提案システムでは、ユーザーが登録したタスクと過去の実行履歴を利用してEase-of-Execution Featureを算出する。
算出された特徴量に基づいて、ユーザーが最も実行しやすいと推定される時間帯へタスクを推薦する。
これにより、従来の空き時間のみを考慮したスケジューリングではなく、ユーザーの行動特性を反映したパーソナライズドなタスク推薦を実現する。
研究の特徴
- 空き時間ではなく「実行しやすい時間」を推薦する点
- ユーザーごとの行動履歴を活用したパーソナライズド推薦である点
- 計画錯誤と時間帯特性を統合したEase-of-Execution Featureを提案している点
- タスク実行の成功可能性を考慮した新しいスケジューリング手法である点
期待される効果
- タスクの実行率向上
- 計画遵守率の向上
- タスク管理の効率化
- 生産性の向上
- 日常生活におけるQOL(Quality of Life)の向上
今後の展望
現在は計画錯誤と時間帯特性を中心に実行しやすさをモデル化している。
今後は、睡眠情報・活動量・疲労度・クロノタイプ・環境情報・センサデータなど、より多様なユーザー特性を統合し、実行しやすさをより高精度に推定できるパーソナライズドタスクスケジューリングシステムへ発展させることを目指している。